MEMORY-君と過ごした夏-
会ったことがある…?
うそ…
私はシロを、知らない。
「…去年の冬、人を憎んで憎んで…絶望のどん底にいた僕を君は救ってくれた」
…救う?
私が?
ありえない。
私は、人を傷つけたことはあっても、救ったことなんて…ない。
「…その恩返しをしたくて」
汗が目に入ってシロの姿がぼやける。
目をこすった。
そのとき、違和感を感じた。
なんだろう。
なんだろう…
シロは相変わらず微笑んだまま私を見つめている。
「……今日、暑いね」
「へ?あ…うん」
なんで突然そんなこと…
その瞬間―――
違和感の正体に気がついて、ぞっとした。