MEMORY-君と過ごした夏-
今日は35℃を超える猛暑だ。
家を出てまだ5分も経っていない私でさえ、もう汗が止まらない。
――それなのに。
なんで彼は、汗一つかいていないの?
なんで私のことを知っているの?
なんで私と会ったの?
なんで私を…優しいと言うの?
疑問はどんどん増えるばかりで。
全部全部聞きたかった。
だけど、一番に飛び出したのは―――
「ねえ…
あなたは一体誰?」
油蝉が鳴いている。
シロは微笑んでいる。
油蝉が、鳴いている―――
「僕はシロ
君に恩返しをするために存在する―――
強いて言えば、幽霊みたいな存在かな?」