MEMORY-君と過ごした夏-
第一章
命日
「奈央、優也くんが来てるわよ」
朝、珍しくお母さんが起こしに来たと思ったら…そんなことか。
目をこすりながら適当に「今行く」と返事をしてベッドから起き上がった。
そういえば今日はデートの約束をしてた。
…誰とだっけ?
パラパラとスケジュール帳をめくると、8月14日のところには、『12時に駅前 ケンジ』と、殴り書きしてあった。
…もう一つ、今日が何の日かを示す小さな文字が書いてあったけど、見ないフリをして時計を見た。
今何時?
短い針はぴったり…『11』を指している。
やばい、時間ない。
クローゼットを開いてガーリーなワンピースを引っ張り出す。
それを着て全身鏡の前に立った。