MEMORY-君と過ごした夏-
隣にある優也の家の呼び鈴を押すと、優也のお母さんが出てきた。
優也のお母さんと会うのは何ヵ月ぶりだろう…
私を見て目を丸くして、にっこりと微笑んだ。
「奈央ちゃん、久しぶりね!相変わらず可愛いわねぇ~」
「お久しぶりです…優也いますか?」
いつもならもう少し愛想良く返事出来るんだけど、今はただただ急いでいたから。
優也のお母さんはそんな私の態度を気にも止めずに、家の中に向かって「優也ー!奈央ちゃんが呼んでるわよー!」と叫んだ。
少しして階段を下る音がして。
玄関から優也が現れた。
「奈央…?どうした?」
「…優也…」
ねえ、優也ならほんとのこと言ってくれるよね?
私の隣に立ってるシロのこと…いる、って、言ってくれるよね…?
「じゃあ私は家に戻ってるわねー」
「あ、ああ」
相変わらずにこにこしながら家に入っていく優也のお母さん。
二人きりになった。