MEMORY-君と過ごした夏-
正体
いない…
いない……?
「嘘…だ…」
じゃあ…
シロは、本当に……
…そんなの、やだ。
信じない。
信じられない。
「優也、いるでしょ?ねえ?私の隣!ここに!!」
「い…ねぇよ…何言ってんだよ…」
「蒼太にそっくりの男が…いるじゃない…!」
私が『蒼太』の名前を出すと、今まで困惑気味だった優也の表情が、一瞬で変わった。
怒り、哀れみ、恐れ――
どれに当てはめても当たっていて、でも間違っているような…そんな表情。
「…奈央…蒼太の死が受け入れられないのはわかる
でも…そろそろ…前に進めよ…!
こんなことしてるお前…見たくねぇよ……!」
…『こんなこと』?
こんなことって?
…シロが、私が蒼太の代わりに作り出した妄想だとでも言いたいの?