MEMORY-君と過ごした夏-
そんなわけない。
私だって…蒼太が生きてたら、とは何百回も考えた。
でも…蒼太は死んだ。
その事実は、曲げようがない。
そんなこと…わかってる。
…それなのに…
「…優也は私のこと、信じてくれないんだね」
私はこんなに同情されてたんだ。
蒼太の幻を見てると思われるほどに。
「…私…そこまで落ちぶれてないわよ……!」
優也に背を向け、走る。
涙で前がぼやけて見えた。
悔しい。
どうしようもないやるせなさがこみ上げてくる。
みんな私に同情してたの?
優也も…
さっきの優也のお母さんの笑顔だって、きっと…
同情だ。
『恋人を失った可哀想な女の子』
私は…そんな風に見られてたんだ…