MEMORY-君と過ごした夏-
うつむきがちだった顔を上げると、シロと目が合った。
シロは私に微笑みかける。
…嘘じゃ…ないんだよね…
「じゃあさ……
蒼太のこと、よみがえらせてよ」
なんでも願いが叶うなら。
巨万の富よりも。
幸せの約束された未来よりも。
私はこの願いを選ぶだろう。
「…それは出来ないんだ」
――…え…
悲しげに呟くシロ。
その姿は嘘を言っているようには見えなかった。
「なんで…」
「生物の生と死…これだけは変えられないんだ」
なんだ…
やっぱり、蒼太には会えないんだ。