MEMORY-君と過ごした夏-





「ねえ…蒼太は幽霊にはなってないの?」


幽霊でも幻でもいい。

蒼太に…会えるのなら。


「それは…ないと思う」


そんな淡い望みでさえも、打ち砕かれた。


「僕はこの世界に、君に恩返しをしたい、っていう強い未練があったから

だからその未練を晴らしにここにいる

でもほとんどの場合…まっすぐ天国に行くんだよ」


蒼太は…未練なんてなかったんだ

私…愛されてなかったの?

蒼太は私のことなんて、どうでもいいの…?


…私は…


蒼太さえいれば…他には何も、いらないのに…



「…ごめん」


シロがうつむいて呟いた。


「昨日、あの雨の中で君はソウタの名前を呼んでいたから…

でもソウタはよみがえらない

だからせめて、僕がソウタの代わりになれたら、なんて思ったんだけど…」


蒼太の…代わり…


シロはそのために、この姿に…




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