MEMORY-君と過ごした夏-
第三章
茜さん
―――ピピピピピ…
目覚ましが鳴った。
いつもなら目覚ましなんかでは起きない私でも、夏特有の蒸し暑さもあり起きてしまった。
そうだ私…今日もデートの約束してた…
まだ時間がある。
ゆっくりと服を選んで、リビングに向かった。
「おはよう奈央」
キッチンの奥から聞こえたお母さんの声。
…また遊びに行くって言ったら、なんて言われるかな。
「はい、朝ごはん」
キッチンからお母さんが出てきてテーブルの上にフレンチトーストを置いた。
甘い香りが漂ってくる。
椅子に座って、手に取った。
「…今日も遊びに行くのね」
…やっぱり、バレた。