MEMORY-君と過ごした夏-
「…うん」
少しだけ後ろめたく感じて、お母さんに聞こえるか聞こえないかくらいの大きさの声で呟いた。
どうせまた同じこと言われる。
『いい加減にして』
『あなたの気持ちはわかるけど…』
『そろそろしっかりしなさい』
わかってる。
わかってるけど。
でも…無理なんだよ…
「二年前…あんなことがあって、あなたがつらいのはわかるわ
でも…逃げてたって変わらないじゃない」
…ほら。
また、同じこと。
わかってるんだってば。
私が逃げてることも。
私が弱いことも。
でも…
「うっさいなあ…」
どんな綺麗事言ったって。
お母さんに私の気持ちは、わからない。