MEMORY-君と過ごした夏-





――素直に『ありがとう』って言ってれば――


私に言ってるのかと思った。


今朝私…お母さんにどんな態度取った?



「…ちょっと、ごめん」


私に背を向ける茜さん。

その肩が小刻みに震えている。


…泣いてる…?



「…ごめん…ごめんね…」


その言葉は、私に向けて言ってるのか、蒼太に向けて言ってるのか、わからなかった。



「………ごめんね、奈央ちゃん


あなたのこと心配してるのは本当よ?


でもね…





あなたを見たとき、昔の自分に重ねちゃって


昔の自分を…思い出しちゃって




もう私は昔の自分を思い出したくないの


だからもう、来ないで」





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