MEMORY-君と過ごした夏-
思わず舌打ちをすると、優也が顔をしかめた。
「お前それやめろよ。感じ悪いぞ」
「放っといて」
私が駅に向かって歩き出そうとすると、目の前に優也が立ちふさがった。
今度はわざと大きく舌打ちをして、優也を睨む。
優也はそんな私の視線を受け止めた。
「何?たかが家が隣の幼なじみだからって、あんまり馴れ馴れしくしてるとキレるよ?」
「…奈央、いい加減にしろ」
優也は本気で怒っているみたいだった。
その目は私をまっすぐに見ている。
でも私にそんなこと関係ない。
早くしないと約束の時間に間に合わない。
「今日ぐらいは…他の男のところに行くの、やめろよ」
…は?
なんで…優也にそんなこと言われなきゃいけないの?
「蒼太が…悲しむだろ」