MEMORY-君と過ごした夏-
「…奈央?」
聞きなれた声。
顔を上げると、優也が立っていた。
どうやらもう優也の家の前まで着いてたらしい。
ぼんやりしてたから気づかなかった。
「お前…泣いてる?」
…やっぱり幼なじみにはなんでもバレちゃうな。
恥ずかしい。
目をごしごしこすって、無理矢理笑顔を浮かべた。
「茜さんに、もう蒼太の墓には来るなって言われちゃった」
目を丸くして私を見る優也。
なぜか言葉が、口をついて出てくる。
「私を見てると昔の自分を思い出して、嫌なんだって
私…嫌われちゃった
だから…
…だから…」
嫌だな、もう。
涙が出てくる。
いつも作り笑いを浮かべてるくせに。
なんで…出来ないんだろう。