MEMORY-君と過ごした夏-





「…奈央?」


聞きなれた声。

顔を上げると、優也が立っていた。


どうやらもう優也の家の前まで着いてたらしい。

ぼんやりしてたから気づかなかった。


「お前…泣いてる?」


…やっぱり幼なじみにはなんでもバレちゃうな。

恥ずかしい。


目をごしごしこすって、無理矢理笑顔を浮かべた。


「茜さんに、もう蒼太の墓には来るなって言われちゃった」


目を丸くして私を見る優也。

なぜか言葉が、口をついて出てくる。


「私を見てると昔の自分を思い出して、嫌なんだって


私…嫌われちゃった


だから…



…だから…」




嫌だな、もう。


涙が出てくる。


いつも作り笑いを浮かべてるくせに。


なんで…出来ないんだろう。




< 70 / 237 >

この作品をシェア

pagetop