MEMORY-君と過ごした夏-
榎本の手のひらは、人間の温もりを感じさせて。
真剣な顔してそんなことするもんだから、私の顔はみるみるうちに火照っていった。
「なっ…なにすんだよ変態!!」
榎本の手を振り払って睨む。
榎本はまたきょとんとして私を見た。
「いや、だって…腫れてたし…」
「そういう問題じゃないでしょ?!」
そう言ってる自分の額も腫れてるなんて気づかずに、榎本はまた笑った。
「大丈夫そうだね」
大丈夫そうだねって…
何よ、それ…
はあーっと、今までにないほど深く、ため息をついた。
天然…?
天然なのよね…?
…ついていけない。
私に近づいてくる男はいつだって、私の顔だけ目当てで、中身なんて全然見てなくて。
下心見え見え、みたいな、そんな奴しかいなかった。
それなのにコイツは…
下心どころか、私を女として見てるかも謎じゃない…