MEMORY-君と過ごした夏-
沈黙。
私も茜さんも、何も言わない。
茜さんは…何て言うだろう。
やっぱり、嫌だって言うの?
それでも私は絶対に蒼太のことを忘れない。
なんて言われたって―――
この気持ちにだけは、嘘をつけない。
「……なんなのよ」
茜さんが呟いた。
その声は、今にも消えそうなくらい小さくて。
私の視線を避けるように、茜さんは、うつむいて唇を噛んだ。
「知ってるわよ…私が間違ってることぐらい
アンタが何も悪くないことぐらい…
じゃあ…私はもう…どうしたらいいの?
罪悪感で、押し潰されそうなのよ………ッ!!」
喉から絞り出すみたいで。
茜さんの声は、苦しそうだった。