星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
39.心の鍵を開けるとき
そう。
恭はもう十代の男の子じゃない。
目の前にいるのは確かに恭で、でも大人の男の人で――。
七年の年月は、少年を大人に変えるのに十分な時間だった。
彼が今もあの時のようにまっすぐに自分のことを好きでいてくれるなんて、考える方がおかしいのかもしれない。
綾は自分の手を見つめて悲しくなった。
彼が出会った頃と違うように、自分も確実に七年分年を取ってしまっている。
この手だって、七年前と違う。
居酒屋で働いて、指先がかさついた自分の手を悲しく眺めた。
「もう大人の男の人だもの。恋人がいても、結婚していても全然不思議じゃないのに――」
「仕事ばかりで、もてない男ですから」
「そんなこと」
綾が顔を上げると、恭司はいたずらっ子のようにやんちゃな笑みを浮かべていた。