星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
背中の中央まであったストレートロングの髪を、美容師はもったいなさそうに眺めた後、綾の肩のラインに合わせて、ばっさりと切り落としていった。
そしてさらにハサミを入れ、ショートヘアに変えていく。
鏡の中の自分の姿を綾は真っ直ぐに見つめた。
美容室を出て駅に向かい、ボストンバッグを二つ持って綾は下りの電車に乗った。
車窓にすっかり変わった自分の姿が映る。
この何年間で以前より痩せてしまった。
短くなった髪を撫でてみる。
まるでやせ細っている少年のようだ。
こんな姿なら誰も愛人にしようとは思わないだろう。
とにかくこの地を離れたかった。
行き先は決めていなかったが行きたい場所がある。
恭司と初めて一緒に迎えた朝を、綾は思い出していた。