星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
「本当に。話し始まると、綾は俺のこと『恭子』だと思っているみたいだ」
「えっ?」
「つまり、女友達扱いってこと」
綾のおでこを恭司が人差し指で弾いた。
少し眉をしかめてから、恭司が笑った。
「私、緊張するとおしゃべりになるんだ」
綾はおでこを押さえながら、澄まして言った。
少し目を大きくして恭司は微笑む。
綾とこんな風に朝を迎えられるなら、一晩中語り明かすだけでも構わないかなとも思った。
でも、やはり綾にもっと近付きたいと思う。
もっと知りたいと思う。
もっと触れたいと思う。
焦ることはないのかもしれないけれど、その気持ちは大きくなっていた。
「俺、一回着替えに戻ってから出勤するから、もう行くね」
「うん。気をつけてね」
綾に見送られて、玄関を出る。
くすぐったいような感覚に恭司は空を見上げた。