星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
大輔のマンションは、百合のアパートから歩いても行ける距離だ。
大輔の部屋に向かい、次第に小走りになっていた。
玄関の前に立ち、乱れた呼吸を整えるように深呼吸する。
──大輔さんが私からの電話だと知っていながら、無視をしていたとしたら?──
頭を横に振り百合はチャイムを鳴らした。
反応がない。
出かけているのだろうか。
繰り返し、チャイムを押してみる。
五回目で玄関のドアが開いた。
中から出てきたのは眠そうな目と気だるそうな表情で頭を掻いている大輔だった。
「――百合? どうしたの?」
相変わらずの少し低めの気遣うような問いかけに、百合の心の緊張が緩んだ。
顔に体中の血が上ってくる感じがして、百合は慌てて大輔に「電話したのに出ないから」と怒ってみせた。