星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
「電話? ごめん、気付かなかった」
大輔のその一言と頭を掻く仕草を見て、安堵感がどっと押し寄せてきた。
泣くつもりはないのに目頭が熱くなってくる。
この人は私を無視したりしない、絶対に。
自然とそう思えた。
「こんな時間に百合がここにいるのは不思議だな――、なんかあったの?」
大輔は百合の様子がいつもと違うことに気付き、表情を窺うように百合の顔の高さまで自分の顔を下げた。
百合は大輔の首に両腕を回し、その体に抱きつく。
突然のことに一歩後ずさりながらも、大輔は百合の体を受け止めた。
その瞬間、百合には自分が欲しがっていたものが分かった気がした。
自分だけに許される温もりがここにある。
素直にそれを嬉しいと思った。無くせないと思った。