星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
「ずっと、私は彼にふさわしくないと思っていました。今でも、心のどこかでその思いがあります。だけど――」
圭吾は綾の言葉に小さく頷くながら、目を細めていた。
「何が良いのか、悪いのかなんてさ、人の価値観には違いがあるから、決めつけられないんだよ。恭司はきっと自分の心に真っ直ぐに向き合って、これからのことも判断できる奴だ。綾さんも心配なんてしないで、自分の心に素直に行動すれば良いだけだ」
大きな瞳で圭吾を見つめ、綾は頷く。
「人間なんて明日の命さえ何の確証もなく生きてんだよ。毎日どの瞬間も後悔しないように自分に素直に生きていけるのが一番だ」
「本当にそうですよね」
二人が微笑み合っているところに恭司が紙パックのカフェオレを二つとお茶を一つ持って戻ってきた。
綾と圭吾の穏やかそうな表情を見て、恭司はほっとする。
やはり母親より綾を連れてきて正解だったと頷く。