星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY
「だったら、手、出しちゃえば良かったじゃない。恭の心に綾さんが居たとしても、私は受け入れたよ」
いっそのこと、そういう関係になっていれば、こんなにも執着しなかったかもしれないと百合は思った。
「そりゃ、俺も男だから、ね。考えなかったとは言わないけど」
「え、そうなの?」
恭司はまた苦笑いをして百合の顔を見た。
「最初にさ、上野のこと車に乗せた日のことを思うと、俺、いい加減なことをしてはいけないと決めていたんだ。あの日のお前さ、俺の言葉や態度で傷ついただろ? あん時の上野の顔、今でもなんか焼き付いててさ。結局上野が綾を嫌うのもあの日のことが原因のような気がするしな」
男って何にも考えていないようで、結構考えているものなんだ。
七年も前の話を恭司がしてくるとは思わなかった。
初めて恭司とまともに話せた日。
それが執着のスイッチを押したことを、恭司も気付いていたなんて。