星屑恋夜~【恭&綾シリーズ】3~LAST STORY

2.胸の痛みを知る者



夜九時半に堀川大輔は上野百合のアパートの前に着いた。

エンジンを止めて、アパートの明かりを見つめる。

今日は恭司と会っていたのだろうと、簡単に想像できた。

百合が大輔に電話を掛けてくる日は、そういう日が多いことに大輔は随分前から気付いていた。



携帯電話でアパートの前に着いたことを知らせると、百合は手に器を持って現れた。

塞がっている両手に気付き、大輔は車の中から助手席のドアを開けてやった。


「もう晩御飯食べちゃったよね?」

「ああ」

「でも、これくらい大輔さんなら食べられるよね?」


百合は上目遣いに大輔の顔を覗く。

大輔がどう答えようと、結局は全部食べることになるのだ。

たとえ大輔のために作られた料理でないと分かっていても。



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