キミとボクを繋ぐピアノメロディ
彼女はピアノを弾いていた
昼休み……
音楽室からピアノの音が聴こえてくる。
授業で聴く曲ではない。もちろん合唱曲でもない。
ピアノを弾いている少女と、その横にもう一人少女が座っている。
メロディを聴いていた少女は、目を閉じて身体を軽く揺らしている。
なんてことはない。
ただの邦楽。
違うのは、楽譜通りに弾いているのではなく、ピアノを弾いている彼女が耳で聴いて、自分なりでアレンジして弾いていた。
横に座っている少女は誰のピアノよりも彼女のピアノが好きだった。
「ほんっと、莉子のピアノ大好き!!」
聴いていた少女は莉子の側に立ち寄った。
曲を終え、掌を膝に置いた莉子がにっこり微笑んだ。
「誰だって弾けるよ?これくらいのレベル…」
「違うの。莉子のがいいの。莉子じゃないとだめ!」
莉子は苦虫を潰した笑顔を見せた。
それでも本心は嬉しかった。
莉子しか弾けない曲……
彼女の音楽を聴いてすぐにピアノに弾き直す能力は他の人からも買われていた。
「さくら、次弾いてきて欲しい曲はない?」
「うーん、じゃあ、あれ!ゲームの戦闘のシーンの曲、聴きたい!」
さくらはRPGのゲームが大好きだった。
その話を境に、ピアノの鍵盤をしまい、午後授業が始まる教室へ、二人で向かった。
「ねぇ、莉子は音大に進まないの?」
「え、音大?」
「だって、ピアノ凄いうまいんだよ。目指さないの?」
「……あのねぇ、さくら。これくらいいっぱいいるよ?」
大学……。
彼女達は中学3年生だった。
そろそろ進路を決めなくてはならない。
高校は、中学高校一貫だったため一般でいう高校受験はなかった。
そんな緩さだったからか、勉強もせずに、二人でピアノを聴いている。
「そういうさくらこそ、美大目指すんでしょ?」
「当たり前じゃん!」
さくらはいつもの笑顔で答えた。
そう、さくらは幼稚園児の頃から美術教室に通っている。
莉子以外にピアノで右に出るものはいなかった。
それは、さくらにもいえることだった。
彼女以外に美術で右に出るものはいない。
さくらもまた、芸術面で突出していた。
さくらの輝く笑顔に、莉子は圧倒された。
……私の能力は対したことがない。音大なんて。
教室につき、授業の準備をし、起立、礼。
午後の授業が始まった。
……ゲームの戦闘曲か。帰ったらネットで調べよう。
いつも通りの午後を窓の外の空を見ながら、新しいリクエストの曲をイメージしていた。
音楽室からピアノの音が聴こえてくる。
授業で聴く曲ではない。もちろん合唱曲でもない。
ピアノを弾いている少女と、その横にもう一人少女が座っている。
メロディを聴いていた少女は、目を閉じて身体を軽く揺らしている。
なんてことはない。
ただの邦楽。
違うのは、楽譜通りに弾いているのではなく、ピアノを弾いている彼女が耳で聴いて、自分なりでアレンジして弾いていた。
横に座っている少女は誰のピアノよりも彼女のピアノが好きだった。
「ほんっと、莉子のピアノ大好き!!」
聴いていた少女は莉子の側に立ち寄った。
曲を終え、掌を膝に置いた莉子がにっこり微笑んだ。
「誰だって弾けるよ?これくらいのレベル…」
「違うの。莉子のがいいの。莉子じゃないとだめ!」
莉子は苦虫を潰した笑顔を見せた。
それでも本心は嬉しかった。
莉子しか弾けない曲……
彼女の音楽を聴いてすぐにピアノに弾き直す能力は他の人からも買われていた。
「さくら、次弾いてきて欲しい曲はない?」
「うーん、じゃあ、あれ!ゲームの戦闘のシーンの曲、聴きたい!」
さくらはRPGのゲームが大好きだった。
その話を境に、ピアノの鍵盤をしまい、午後授業が始まる教室へ、二人で向かった。
「ねぇ、莉子は音大に進まないの?」
「え、音大?」
「だって、ピアノ凄いうまいんだよ。目指さないの?」
「……あのねぇ、さくら。これくらいいっぱいいるよ?」
大学……。
彼女達は中学3年生だった。
そろそろ進路を決めなくてはならない。
高校は、中学高校一貫だったため一般でいう高校受験はなかった。
そんな緩さだったからか、勉強もせずに、二人でピアノを聴いている。
「そういうさくらこそ、美大目指すんでしょ?」
「当たり前じゃん!」
さくらはいつもの笑顔で答えた。
そう、さくらは幼稚園児の頃から美術教室に通っている。
莉子以外にピアノで右に出るものはいなかった。
それは、さくらにもいえることだった。
彼女以外に美術で右に出るものはいない。
さくらもまた、芸術面で突出していた。
さくらの輝く笑顔に、莉子は圧倒された。
……私の能力は対したことがない。音大なんて。
教室につき、授業の準備をし、起立、礼。
午後の授業が始まった。
……ゲームの戦闘曲か。帰ったらネットで調べよう。
いつも通りの午後を窓の外の空を見ながら、新しいリクエストの曲をイメージしていた。