【短編】きみと花火の音
――花火大会当日。
私は、普段は着られない夏らしい水色の浴衣姿で待ち合わせ場所に向かっていた。
思えば、拓海とこんな風に待ち合わせるのも久しぶりだ。
昔はよくふたりで遊んだりもしたけど、中学に入ってからはお互い部活や勉強、新しい友達、色んなことに出会って、あまり会話もしなくなっていた。
寂しい、とかはあまり思っていなかった。
これは自然なことだと思っていたから。
でも、なんでかな。
拓海から花火大会に誘われたとき、なんとなくワクワクした。そわそわした。
あと、嬉しかった。
なんでいきなり拓海があんなこと言い出したのかは知らない。
でも、理由なんてなんでもいいや。