【短編】きみと花火の音



「えーと、好きか嫌いかで言ったら?」



動揺した私を見て、拓海は言い方を変えた。



「うーん……嫌いじゃないから、好きになるよね」



嫌いだったらこんなふうに隣同士仲良さげに座ったりはしないだろう。

私の答えに拓海はどこかホッとしたように「よかった」と呟くだけだった。



「ねぇ、いきなりどうしたの?」



そんな質問してくるなんて、なんだかおかしい。

絶対何かあると感じたが、拓海は案外あっさりとそれに答えてくれた。



「俺、引っ越すことになったんだ」

「え?」

「だから、最後に、千夏とこうやって話したくてさ」



その瞬間、大きな花火が上がった。



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