カラダ探し
柵から身を乗り出して、階下を見る私達。


「おい、本気でここから下りるつもりか?」


翔太の第一声はそれだった。


「これは……やっぱり無理だよね」


言い出した理恵でさえ、その高さに苦笑いを浮かべて私を見る。


私を見られても、無理なものは無理。


でも、無理を承知で翔太に相談しているのだから。


「行けない事はないだろうけど……とりあえずは新校舎を全部調べた方が良いだろ。残りの教室が少ないなら、まずはそっちだ。それでもカラダがないなら、旧校舎に行く事も考えよう」


「でもよ、今から考えても損はねぇだろ? どうやって下りて、どうやって上がってくるか」


翔太の言う事はわかるけど、高広の言う事も正しいと思う。


結局、新校舎を調べる事は確定しているのだから、旧校舎へのルートを確保する事を考えるべきだ。


「行くのは簡単だとしても……戻る事なんだよ。問題は」


頭をかきむしりながら、翔太が顔をしかめた。


行く事は簡単、戻る事が難しい。


翔太が言うには、ロープでもたらしてそこから降りたとしても、上る事が大変らしい。


保育園に行ってた頃は、綱上りなんてものをお遊戯場でしていたから、私には大変だという意味がわからなかった。
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