カラダ探し
明日香を一目見る事も叶わず、自分の出番が来た事を知った高広は、廊下に飛び出した。


明日香を見たいがために、翔太の努力を無駄にする事はできない。


生産棟の方を向いた高広の眼前に、猛スピードで迫る物体。


「うおっ!! なんだ!?」


そう叫び、両手でそれを受け止めたが、この物体が何かという事は理解していた。


遥の頭部が入った、ぬいぐるみの残骸だと。


「お前ら! これは任せたぞ!」


翔太から受け取ったそれを、留美子達の方に投げた高広は、目の前の光景に息を飲んだ。


胸を貫く赤い腕と共に、ゆっくりと床に倒れる翔太。


そして、その背後にいる「赤い人」が徐々に姿を見せた。


「俺もこんな殺され方をしたのかよ……やっぱ化け物だな」


ハッ!と鼻で笑いながらも、目の前の化け物から発せられる異様な雰囲気に、脚が震え始める。


翔太の背中から、腕を引き抜いた「赤い人」は、怒りに満ちた表情を高広に向けた。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


高広と「赤い人」との距離はわずか3メートル程度。
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