カラダ探し
遥の言う事が正しければ、棺桶に入りさえすれば「カラダ探し」が終わる。


棺桶の前に立つ私を、美紀と遥、「赤い人」の3人が見ていた。


遥が出た後の棺桶の中はもう、人型を成していなくて、私ひとりが寝る事ができるくらいの、パイプを半分に切ったような形になっている。


ここに寝れば、11月9日から抜け出せる……逆を言えば、寝なければ永遠にここから抜け出せないという事かもしれない。


「じゃあ……入るけど、最後にきいて良い?」


私は、遥にどうしてもきいておきたい事があった。


背後に立つ、遥と向かい合ってその顔を見つめた。


「何? わかる事なら、何でも教えてあげるよ」


この時見た遥の笑顔は、美紀に向けた時のような目をしていなかった。


安心しきったような、優しい目を。


「遥は、なんで知ってるの? 『カラダ探し』が終わった後の事を知らないみたいに言ってたのに……どうして消去されても気づかないようにするためだって知ってるの?それに、私がきいた事をほとんど知ってたよね? 遥が知らない事って何?」


と、そうたずねた時だった。
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