カラダ探し
一体ここはどこなのだろう?


私の部屋ではない、広い空間を見回していた私は、ひとつの結論を導きだした。


「学校の……ホール?」


吹き抜けになっている高い天井に自動販売機。


そして昨夜、棺桶が置かれていた場所に、代わりに置かれている長椅子に私は横になっている。


ホールの壁の時計は8時10分。


外は明るくて、もう朝になっているという事がわかった。


ただ、この朝が11月9日なのか10日なのか……。


「カラダ探し」が終わったから10日のはずだけど、確認するまでは安心はできない。


長椅子の上で上体を起こして脚を床に下ろし、ブレザーのポケットから、携帯電話を取り出してそれを開いた。


「あれ? 電源が切れてる……バッテリー切れかな」


携帯電話の画面は真っ黒で、電源を入れようとしても入らない。


充電もしてなかったし、この一晩でバッテリー残量がなくなったのかな。


でも……「昨日」はバッテリー残量がまだあったはずだから、それはつまり、今日は11月9日じゃないという事で、私はやっと繰り返される「昨日」から抜け出す事ができたと理解した。


うれしいはずなのに、なんだか素直に喜べない。


生徒玄関の方から、登校してきたであろう人達の声が聞こえるけど、その中に皆の姿はないのだから。
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