カラダ探し
長椅子に座って5分、登校してきて、各教室に向かう生徒達を眺めながら考え事をしていた。


いや、考え事……というほどじゃない。


皆がいないという現実を確認しにいくのが怖くて、何でもない事を無理に考えているだけ。


携帯電話の電源が入らないから、本当に日が変わっているのかわからないけれど、それは確認しないといけない。


日が変わっているのであれば、教室に行って、いなくなった皆を、遥が言った通りクラスメイトは気にしていないのだろうか?


それより、どうして八代先生は私達に嘘をついたのだろう。


「カラダ探し」が終われば、最後のカラダを納める時に死んでいても、生き返ると言っていたし、誰が頼みにきたのかわからないとも言っていた。


でも、皆は消去されてしまい、私は遥が頼みにきたという事も覚えている。


遥が誰なのか……という記憶もすり込まれていない。


わからない事が多すぎる。


どうして私が、自分の部屋ではなく、ここで目を覚ましたのかもわからない。


まあ、それに関しては、私が昨夜棺桶で眠ってしまったからなのだろう。


そんな事を考えながら、ボーッと、教室に向かう生徒達を眺めていた時だった。
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