車椅子から見える愛

学校までは車で30分くらいだったよ。


私は私専用のカーシートに乗り、ドライブを楽しんだわ。


学校に着くと、その後は教師が私の車椅子を押す。


そのことに母は不思議な感覚というか、違和感というか、なんだか変なものを感じたみたいよ。


車椅子やベビーカー、又は抱っこ、常に私は母の一番近くにいた。
今までは……。


それが自分の前の方に私がいない感覚……、口では言えない変な感じだったそうよ。


つまり私は今まで、母の分身のようにそこにいたんだね。


「かりんちゃんが前にいないと、どうやって歩いていいのかわからない」


そんなことを言うくらい、自分一人で歩くということがほとんどなかったんだわ。


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