車椅子から見える愛

麻酔が効いてくるとお医者さんが3人入ってきたの。
下半身麻酔なので母の意識はある。


なんと言っても手術室の雰囲気が怖いと母みゆきは感じていたんだわ。
盲腸のときは小さな手術室だったみたい。
母からのテレパシーで昔のことが映像となって私に伝わるの。


大きな病院の手術室はTVドラマで観るような、大手術をするときのような、雰囲気で恐怖心をさらに大きくするようだったみたい。


お腹にメスが入った。
早く出して〜苦しいから〜。私はそう思ってたの。


「大丈夫ですか?」


看護師さんが母に声をかけてくれた。


「怖い」


我慢強い母みゆきも思わずそう言ったの。


「手を握ってますからね」


と言って看護師さんが母の右手を握ってくれた。
すると左側からも、もうひとりの看護師が手を握ってくれたんだよ。


不安なとき怖いときに他人から手を握ってもらうことは、こんなにも安心するのだと母みゆきはその時のことをずっと忘れないでいるようよ。


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