車椅子から見える愛
「涼太くん。ここにゴリラがいるよね?」
涼太が箱庭に置いたゴリラだ。
コクンとうなづく涼太。
「このゴリラは誰かな?」
涼太は答えなかったみたい。
「担任の先生かな?」
コクン。
「お母さん。わかりました。ちょっと別のところでお話ししましょう」
カウンセラーはそう言ったんだって。
何がわかったのだろう?母はドキドキしたみたい。
涼太は他のカウンセラーに任せて、担当のカウンセラーは母に説明したの。
「お母さん。あのゴリラは担任の先生だと涼太くんは言ってましたよね?」
「はい。そうですね」
「あれをよく見てもらったらわかるんですけど、ゴリラを二重の檻で囲っていたんです。これは担任の先生に対する恐怖心を持っています」
「ええ!それは何故なんでしょうか?」
「それはこれから聞いてみないとわからないですね。私が聞いても涼太くんは答えてくれませんから、お母さんから聞いてもらえるといいんですけどね」
「私にも話すかどうかわかりませんけど、聞いてみます」
なんと!担任の先生が原因だったとは!母もまさかそこまではと思っていたようだよ。