車椅子から見える愛

葬儀が終わり、私も一緒に火葬場へ。


最後のお別れのとき……。


母はずっと涼太の頬を撫でていた。止める人がいなかったら永遠にやっていたかもしれない……。


だって、涼太は焼かれてしまうのだから!


涼太はお骨になった……。


そしてまた家に戻ってきた。


母も父も祖母も私も、まだまだ本当になにが起こったのかわからないでいたわ。


現実なんだろうけど、現実の世界ではない感覚の中にいたのよ。


これはそういうことを経験した人なら、わかるのではないかと思うけれど……。


「あのお母さん悲しくないのかしら」


もしかしてそんな風に見えた人もいるのかもしれない。


子供を亡くした人が現実をすぐに受け止められることはないのよ!


子供を亡くした上に、他人からの非難を受ける。


本当に残酷すぎる現実だと思ったわ。


< 249 / 467 >

この作品をシェア

pagetop