車椅子から見える愛

涼太の姿が見えない。


どうして?


私の車椅子の周りをチョロチョロチョロチョロ走り回っていたのが当たり前になっていたのに……。


私にとっても涼太の存在感は大きなものだったのに……。


もう本当にいないんだ……。


ほんとに小さな頃から、私がどんな状態なのか、ちゃんと理解していたよね。


まだ涼太が2歳くらいのときに、一緒に風邪を引いて病院に行ったよね。その時も母が一人で連れて行ってくれて……。


母が会計をしているときに、私に絵本を見せてくれたよね。誰も教えないのに……。


賢い子だった。


「かりんちゃんを怒るな!」


母がたまに私の世話が大変なときにイライラしてちょっと怒り口調になると、必ずそう言ってくれたよね。


優しい優しい涼太……。


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