車椅子から見える愛

「僕のことは可愛くないんでしょ」


母が私の世話ばかりしていて、かりんちゃん可愛い可愛いって言うのを聞いて、涼太はそう言ったことがあったよね。


「何言ってんの?涼太のことが一番可愛いと思ってるんだよ」


母がそう言った。


そのときの涼太の顔が面白かったね。


ビックリしたような、恥ずかしいような、そしてすごく嬉しそうだったよね。


「あのときに、涼太が一番可愛いと言って良かった。ほんとは2人とも同じように、と言おうかと思ったんだけど、いつも我慢してくれている涼太にそう言ってあげたかったの」


母は最近になってそう言っていたわ。


母は親バカだから涼太のことも可愛い可愛いと毎日言っていたんだけどね。


私も涼太も、家族のみんなからほんとにほんとに愛されてるんだよね。


天使になった涼太のこともずっとずっと愛していくんだよ。


わかってるよね……。


< 257 / 467 >

この作品をシェア

pagetop