車椅子から見える愛
次の診察日。
「漢方薬が効いてる気がしないんです。学校からも早く早くと言われてますし、他に薬はありませんか?」
母はそう主治医に言った。主治医は漢方薬に自信を持っているらしく、露骨にイヤな顔をしながらもこう言ったんだよ。
「では抗鬱薬にしますか?」
「うつ病の薬は嫌です」
母もワガママだけどね。うつ病の薬は怖いというイメージがあるからだね。
「では精神安定剤でいいですかね?」
「はい。なるべく軽いタイプのでお願いします」
ちっ。主治医が舌打ちしたようにも感じたみたいだけど、別にそんなの気にない母なの。
それから精神安定剤を飲むようになった母だけど、副作用でやたら眠いみたいだったわ。
精神を安定させてくれるということは、身体もダラ〜ンとしてしまうのかもしれないね。
やはりうつ病になってかなり放置していたせいもあり(うつ病とは気がつかずに)なかなか治らないのも無理はないのだろうね。
ゆっくりすればいいんだよ。お母さん。私は施設の人が良くしてくれているんだから心配ないんだよ。