車椅子から見える愛
「お母さん。双子ってビックリしたけど、ふたりも赤ちゃんが産まれるんだよね。これすごいことだよね」
母は、おばあちゃんにそう言ったの。
おばあちゃんも同じ気持ちだったみたい。
母みゆきは男らしいんだからね。
あはは。
なんとしても、ふたりをしっかりと育ててみせると決めたのよ。
だいたい中絶などという気持ちは、母みゆきの頭にはないのだから、覚悟を決めることしか残っていないんだと思う。
みんなにとって、幸せな幸せな毎日が続いていた。
父貴久も、赤ちゃんができたことをとても喜んでいたのよ。
ふたりの名前をリンゴとミカンと呼んで話しかけてくれた。
「ミカン〜リンゴ〜元気か〜」
シャイな父にしては、珍しいことだったわ。
たぶん私がリンゴで、双子の私の横にいた子がミカンなのだろうな〜と思ったの。