車椅子から見える愛
凉太が亡くなったとき、かりんは中学を卒業して家にいた。
かりんには凉太が亡くなったことはわからない。
でも、何かいつもとは違う世界を感じとり、興奮状態でなかなか寝てくれなかった。
凉太が亡くなったことを私たち家族も理解出来ないでいた。そんな精神状態でも、葬儀屋さんに頼み、お通夜やお葬式などのことを決めていかないとならないのだ。
私は無理だから誰かやってよ!
かりんのことも誰かこんな時くらいみてよ!凉太のそばにいらせてよ!
悲しくて苦しくて倒れそうなときでも、ただ悲しむことも、何も考えられずにボーッとすることも出来ないのだ。
どんなときでも、かりんの面倒は今まで通り私がやらなくては、かりんの命までが危ないのだ。
私の、悲しみや苦しみの感情は、私の中の奥の方に押し込められた。
そして、今やらなくてはいけないことをやるしかないと思った。