車椅子から見える愛

「うつ病でこんな症状が出るんですか?息苦しさとか微熱とか喉の痛みとか。ガンってことはないのですか?人間ドックとか入らなくていいのですか?」


「うつ病の症状にありますよ。ガンが微熱から始まるってことはあんまりないと思いますね。ガンは初期にみつかるとは私は思わないんですよ。私もガンの検査なんかしてませんから。心療内科に予約とりますね」


変わった先生である。予約は1ヶ月後ということだった。それまでに何もできないということだ。でも気持ち的に安心し帰りの車の中で施設に電話を入れた。


「今日の夕方かりんを家に戻してもらってもいいですか?」


「いいですけどお母さん大丈夫なんですか?」


「大丈夫です!」


早くかりんに会いたかった。今これを書きながら思うのは、私はずっとこんな風にやってきたんだなということだ。


次の日でもいいのにその日からかりんを帰らせるとは。でもあのときは本当に早くかりんの顔が見たくてたまらなかったのだ。


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