車椅子から見える愛
ーまたお母さんと貴久さんに話さなくちゃいけないー
母はおばあちゃんに話したけど、やっぱりおばあちゃんも理解はできないようだったわ。
父貴久には夕飯が終わってから話そうと思い、母みゆきは夕飯の片付けをしながら話しはじめたの。
「あのね、ひとりの子が頭の骨が出来てないから産まれてからすぐに死ぬとか先生に言われたんだけど、そんなことあるわけないわよねぇ」
母は父の顔を見ずに言っていたみたい。
ー返事がないな、貴久さん聞いてるのかしらー
そう母が思ったとき、鼻水をすする音が聞こえてきたので母は父の方を見た。
ーうわっ。泣いてるー
「ズズッ、そんなこと、死ぬとか、あるわけ、ズズッ、ないやないか!」
母も感情を抑えきれなくなり、ふたりでしばらくの間泣いていた……。
私リンゴもそしてミカンもお腹の中で、ふたりの会話を聞いて泣いていたのよ。