Blood Tear


コウガに柔らかく微笑む黒髪の女性。


だが彼は知らない。

柔らかく微笑む女性の名を。

黒髪を風に靡かせる彼女の名を。


そこにいる女性は、彼が探すアリアではない…




 「おぉ、コウガか」


立ち尽くす彼の名を呼んだのは、黒髪の男性ジョゼノ フ。


名を呼ばれ女性から目を放すと、女性の傍に歩み寄る 彼に尋ねる。




 「ジョゼノフさん、アリアは……?」


と…



だが彼は首を傾げる。




 「アリア……?誰の事だね?」


 「誰って…貴方の、娘じゃないですか……」


コウガの言葉に何を言っているのかと笑って見せ るジョゼノフ。


女性の隣に立つと彼女の肩に手を乗せる。




 「私の娘はロシェットだけだ。アリアなんて子は知 らんな」


 「そんな……」


コウガのみ目前で微笑み合う2人。


黒髪の2人は確かにどこか似ていた。










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