Blood Tear
意味が分からない。
何が起こっているのだろう。
一体何が…
「どうしたコウガ?冗談を言うなどお前らしくもない 。変な夢でも見たのか?」
混乱しているのが分かったのだろう、ジョゼノフは心 配するように声をかける。
あれは夢などではない。
否、夢であって欲しい。
だが事実なんだ。
彼女は存在していて、そしてここで命を落とした。
なのに元から彼女が居なかったような、彼女の存在すらなかったような物言い。
頭がどうにかなりそうだった。
気分が悪くなった。
呼吸が苦しい。
頭痛がする。
目眩がして座り込んだ。
2人は心配そうに何か言っている。
だが何を言っているのだろう、耳に入ってこない。
座り込み頭を抱えていると…
『コウガ…』
自分の名を呼ぶアリアの声がしたような気がした…
優しい声に顔を上げると、スカイブルーの瞳に映った のはこの教会を見守る女神象…
その女神の頬には、血の伝った跡が涙のように残っていた…
それが、それだけが、真実を現していたんだ…
彼女、アリアの存在を…
彼女の死を…