Blood Tear
鮮やかな新緑。
涼やかな風。
煌めく日差し。
緑の葉の隙間から木漏れ日が差し込み、葉が風に揺れる度キラキラと輝いていた。
その中に人影が2つ。
逃げるように森の中を走る男性と、木の上で弓を構え彼を狙う人物。
数本もの矢が何度も飛んでくる。
幾度となく、何度も何度も。
その矢は男性には当たらず地に、木の幹に突き刺さる。
木々の間をすり抜けながら猛スピードで走る男性は飛んできた矢を避けると突然地を蹴った。
力強く地を蹴ると高々と飛躍。
弓を構える人物の傍まで飛ぶと拳を振り下ろす。
だがその拳は空を切り、交わされた攻撃に男性は舌を打つ。
拳の当たった枝は折れ、飛躍した男性と共に地に落ち る。
両手をつき上手く着地した時だった。
「…糞っ……!」
嫌な殺気を感じ取ったのは。
視線を後方に向けると、獲物を捕らえるべく飛んでくる矢の先がすぐそこまで迫っていた。