Blood Tear
青い瞳を真っ直ぐに見つめていると、レグルは一度頷き口を開く。
「スウィール国をラグナレア国の領土とする。しかし、スウィール国は今まで通り何も変えるつもりはない。ラグナレア国は最低限の介入のみ行い、お前の望み通り平和に、幸せにする事を約束しよう」
その言葉にシェノーラは安心しホッと息を吐く。
ジークは彼女の様子に微笑むが、レグルは真剣な面持ちで言葉を続けた。
「しかしシェノーラ、お前からはその名も地位も全て私が奪う。 スウィール国王女、シェノーラ・フィール・ラグナー 、お前は今此処で死んだ事にする」
その場に居た全員が目を見開いた。
それはないのではとジークは口を開くが、シェノーラに止められ言葉を飲み込む。
もう良いのだと、これが最善策なのだと、彼女の瞳はそう言っていた。
「お前は今から王女シェノーラではなく、1人の平民、シェイラ……シェイラ・ブロッガー、ジークの妹として生きろ。
そしてジーク、お前は彼女の傍から離れるな。執事として……否、1人の人間として彼女を守れ。それで良いな?」
レグルが出した条件に2人は見つめ合い、互いに頷くと肯定の返事を返す。
疲れたようにソファーにもたれかかるレグルはこの話 はもう終わりにしようと言う。
シェイラ・ブロッガー。
彼女は名も地位も失う事になった。
しかし、今の彼女はとても幸せそうに笑っていた。