Blood Tear


 「とんだざまだな」


 「…黙れ、ワーウルフ……」


ギプスで固定された左脚に腹部に巻かれる包帯。


痛々しいその姿を見下ろし貶すレオン。


そんな彼に食らいつく彼女は元気な様子。




 「お前、この状況をわかってないだろ」


自由に身動きの取れる彼に対し、ベッドの上から動け ないクレア。


無闇に身体を動かすと傷が開く恐れもある。




嫌みに笑う彼の言葉の真意がわかり、悔しそうに彼を睨む。


そんな彼女を勝ち誇ったように見下ろすが…




 「グッ……コウガ、お前!」


 「いい加減にしろ」


隣に居たコウガに鳩尾を突かれ膝を折るレオン。


的確に突かれた鳩尾を押さえ、痛みに耐えながら声を荒げる彼の頭を更に小突くと黙らせる。




 「大丈夫……じゃないよな……」


冷静に対処した彼はクレアに声をかけるが言葉を詰まらせる。


身動きの取れない怪我人の彼女には、その言葉は相応しくなかった。










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