Blood Tear


 「肉など無いぞ、此処には」


部屋の入口から聞こえてきた声に目を向けると、リオンとセルビアの姿が其処にあった。


今のこの村に肉はないと言うセルビアは腕を組み、隣のリオンは目を覚まし眠そうに目を擦るイースに優しく微笑んだ。




 「建て直し始めたばかりのこの村に肉などあるはずがないだろう」


 「そうか……だが、他の食糧ならあるんだよな?」


 「そうですね。種類は少ないと思いますが、野菜や果物なら手軽に手に入るかと」


冷たく言うセルビアに対し、優しく落ち着いた声音で答えてくれたリオン。

気を利かせてくれた彼に微笑むと立ち上がる。




 「村の様子を見て来るついでに何か探して来るよ」


 「じゃあ、俺も行くか。体を動かしたいしな」


コウガがそう言うと、寝ぼけたイースの頬を突つくレオンは伸びをする。










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