Blood Tear
家屋を出たコウガは陽の光を浴び伸びをすと村の様子を見渡した。
崩れた家屋は建て直され、枯れた草花は元気を取り戻す。
男達は力仕事を、女達は家事をするその光景は、今まで何事もなく過ごして来た、幸せな村の様子にさえ見える。
小さな村だが人々は明るく、その表情は笑顔で溢れていた。
村の中を見回していると木陰に1人、見覚えのある人物の姿を発見。
藍色の髪をした彼は木に背を預け座り込み、苦しそうに咳をする。
「ジーク……?」
心配そうに声をかけるコウガ。
と言うのも、彼は血を吐いたのである。
「あぁコウガさん、お久しぶりです」
突然声を掛けられ驚いた様子を見せたが、口元の血を拭う彼は片手を振って笑ってみせた。