Blood Tear
「簡潔に言えば、力を使わなければ戦えない、と言うのでしょうか。 武器を手にし、それを振るい敵を傷つければ力を使った事になる。この刀でも、それ以外のどんな武器を手にしようが、 殺気を身に纏えば全て同じ。本当に、使い物にならない力ですよ」
刀を手にし呟くと、コウガを見上げ悪戯に微笑んだ。
そしてその刀をコウガに振り下ろし、触れるか触れないかの位置で止める。
「だったら戦うなとか、そんな愚問を言い出したりしませんよね?」
「ちょっ、危ないから!」
目の前で煌めく刃に驚きながら制止を求めるが、反応を楽しむように笑いながら刀を揺らしてみせる。
「今の私には、護るべきものがあります。それを護る為には戦わなければならない時が必ずくる。その時は、何の迷いもなくこの力を使いますよ」
刀を手放しニコリと微笑むジーク。
彼のその瞳は強い意志を秘めたもの。
解放されホッとするコウガは彼に何を言っても聞く耳を持たないだろうと彼を見つめ笑みを零す。
何時もおどけた態度でつかみ所のない彼の本心を少し知れたような、そんな気がして。